「お酒は、やめたくないんですよね」
そう笑って話すのは、特定保健指導で出会った40代の男性でした。
毎日お酒を飲み、好きなものを好きなだけ食べることが習慣になっていたその方。
健康診断では、中性脂肪が1000mg/dLを超えていました(基準値の目安は150mg/dL未満です)。
数字だけを見れば、「お酒を控えましょう」「食事を見直しましょう」と伝えるのが簡単だったかもしれません。
けれど私は、最初から何かを禁止することはしませんでした。
禁止から始めなかった理由
その人には、その人の生活があります。仕事があり、楽しみがあり、好きな食べ物がある。
それらを全部取り上げてしまったら、たとえ一時的に頑張れたとしても、長く続けることは難しい…そう思ったからです。
だから私は、まずその方の生活を知ることから始めました。
何を食べているのか。いつお酒を飲むのか。どんなものが好きなのか。
そして、何なら無理なく変えられそうなのか。
「これはやめましょう」ではなく、「こういう方法もあります」「これならできそうですか?」と、
いくつかの選択肢をお渡しする。その中から、ご本人が「これならできそう」と思えるものを、一緒に探していきました。
完璧じゃない半年間。それでも続いた理由
もちろん、お酒を完全にやめたわけではありません。ラーメンを食べる日もありました。
それでも、その方はとても誠実に向き合ってくれました。
食事記録を送ってくださり、メールや電話でのやり取りにも、きちんと応えてくださいました。
私自身も、少しずつ変わっていく姿を見ているうちに、「この人を応援したい」という気持ちが強くなっていきました。
だからこそ、無理な目標は作りませんでした。
できたことを一緒に確認して、次にできそうなことを考える。う
まくいかなかったときは、責めるのではなく、また別の方法を探す。
そうやって、少しずつ前に進んでいきました。まさに、二人三脚でした。
そして半年後、数字が教えてくれたこと
体重は、10kg減っていました。
そして中性脂肪は、1000mg/dL超から、約140mg/dLまで下がっていました。
その数字を見たときの嬉しさは、今でも覚えています。
でも、私が本当に嬉しかったのは、数字の改善だけではありません。
「お酒をやめたくない」と話していたその方が、自分の好きなものや生活を大切にしたまま、
自分にできることを見つけ、自分の力で行動を変えていったこと。その変化を半年間、いちばん近くで見届けられたこと。
それが、管理栄養士として何よりの達成感でした。
この経験が教えてくれたこと
食事改善は、「我慢すること」ではありません。
人によって、生活も、価値観も、できることも違います。
だからこそ、正解を一方的に押しつけるのではなく、その人の生活に寄り添いながら、
「これならできる」を一緒に探していく。
小さな一歩でも、続けていけば、半年後、1年後には大きな変化につながることがあります。
管理栄養士として私が大切にしているのは、食事の正解を伝えることだけではありません。
その人が、自分の生活の中で無理なく続けられる方法を一緒に見つけること。
そして、その先にある「変わった自分」を一緒に喜ぶこと。
あの半年間の二人三脚は、管理栄養士という仕事の喜びを、改めて教えてくれた大切な経験です。
あなたの「やめたくない」も、聞かせてください
お酒をやめたくない。ラーメンを我慢したくない。甘いものだけは譲れない__。
その気持ちは、わがままではありません。
むしろ、そこから始めるのが、続く健康づくりの正しいスタートだと私たちは考えています。
MEGURUは、管理栄養士があなたの生活と「やめたくないもの」を丸ごと受け止めて、
それでもできる一歩を一緒に探す、伴走型の健康サポートです。
今日の食事が、未来の自分をつくる。だからこそ、無理なく続けられる一歩を、私たちと一緒に見つけていきませんか。
※本記事は実際の保健指導での一事例をもとにしたものです(個人が特定されないよう一部配慮しています)。
効果には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。数値の改善や治療については医師にご相談ください。
